「会計、今からでも四人で回せばいいだけじゃない?」
 淡々とした飛翔くんの言葉に、私は瞬時に反応していた。
「それだけは嫌っ」
「嫌とかそういう問題じゃないと思うんだけど」
「それでも嫌なの。……だって、優太先輩が言ってたもの。私が会計の作業をするから副団長の仕事ができるって」
「それ、あの時点ではって話だろ? 今となっては状況が違う。あんただって副団長を任されてる」
「そうなんだけど……組別のスケジュールが出来上がっている今、みんなにお願いなんて――」
「そうやって自分追い詰めて、人に迷惑かけてどうしたいの?」
「飛翔、言いすぎ」
 風間先輩が間に入ってくれたけれど、飛翔くんは意に介さない。
「自分、本当のことしか口にしてません」
 そうなのだ。飛翔くんは正しい。
 緊迫した空気の中で息が上手に吸えなくなりそうだった。
 このままここにいたら間違いなく過呼吸を起こすだろう。そんな自分がまざまざと想像できて、
「あのっ、大丈夫なのでっっっ――すみません、今日は帰りますっ」
 私は荷物を持って早足で更衣室へ向かった。