陣形においては紙に書いてプリントしたものを配って理解を得ようとした。それが私にできる精一杯だったから。
 海斗くんたちの支えもあり、今のところは一年生や三年生と足並みが揃わないということはない。
 実際、どんな振り付けをさせられるのかとビクビクしていたものの、さほど奇をてらうようなものではなく、とても無難な振りだった。

 副団長の仕事が順調に進む一方、衣装作りとハチマキ作りが全然進んでいなかった。
 一番簡単な作業ですら、長方形の布に刺繍を施し、刺繍を終えたらハチマキに仕立てる、というもの。それは、自分の分とクラスの男子の分ふたつを作らなくてはいけない。
 そのほか、女子は自分のチアの衣装に加えて、男子の衣装を作らなくてはいけない。
 私の場合は長ランと男子の法被を作る、というものだったけれど、作るのが佐野くんの法被だったこともあり、香乃子ちゃんと裏トレードする約束をしていた。
 同じように、海斗くんの法被を作る予定だった桃華さんも飛鳥ちゃんと裏トレードしている。
 こうして女の子たちの間でトレードが繰り返され、違う組のまったく知らない人の衣装を作ることになる女の子が着々と増えていく。また、そこから生まれる出逢いもあるのだとか……。