「基本、姫と王子の出し物って全校生徒に還元されることが前提だし、写真以外に何か案があるなら聞くけど? 正直、前回の紅葉祭よりはいいと思うし、前回の紅葉祭並みに全校生徒に還元できる出し物があるなら提案してくれてかまわないよ? 全校生徒に還元する、という意味で、写真撮影とライブステージを比べれば、写真撮影のほうが企画価値は低いよね。それゆえ、抽選で選ばれた人のみにお弁当タイムを付加したんだけど」
 朝陽先輩は笑顔を崩さずに言うけれど、対抗できる案など出てくるわけがない。
 対抗できる、イコール、私とツカサにとってはもっと不利な企画を提案しなくてはいけないのだから。
 しかし、ツカサは負けじと口を開いた。
「第一、翠が男とふたりで弁当を食べられるとは思えない」
 二、三年メンバー、そして飛翔くんは理由を知っている。しかし、理由を知らない飛竜くんが、
「え? なんでですかー? みんなで楽しくお弁当食べるだけですよ?」
 ツカサがイラついた様子で飛竜くんを見ると、飛翔くんが、
「あの人、面倒なことに男性恐怖症の気がある」
「えっ!? そうだったんですかっ!? じゃ、何? 俺とか生徒会メンバーって男って見られてないんですか? あれ? でも、そうすると司先輩はっ!?」
 ツカサは完全に飛竜くんを無視して朝陽先輩に視線を定めていた。