真白さんが支度を済ませてリビングへ戻ってきたところに司が帰ってきた。
 帰宅したことを知らせにリビングへ顔を出した司に、
「日曜日に御園生さんと車で出かけると聞いたが」
「それが何」
「どこまで行くつもりだ」
「白浜海浜公園」
「今から行くぞ」
「はっ!?」
「免許を取ってから運転していないだろう? うちの車にも乗ってない、走ったこともない道を通る。そんな不安要素ばかりでよそのお嬢さんを乗せられるか」
「ハナのお散歩もかねて、みんなで行きましょう?」
 司は一瞬煙たそうな顔をしたが、すぐに了承した。
「着替えてくるから待ってて」

 司の支度は実に早く、五分としないうちに下りてきた。
 車に乗ってルートを訪ねると、
「支倉を経由する」
「支倉? 遠回りする理由は?」
「翠、明日はピアノのレッスンが支倉であるんだ。だから、そこまで迎えに行くことになってる」
「なるほど」
「支倉からは海岸線に伸びる国道六号線を走る。海岸線に出たらそのまま海沿いを走って海浜公園まで行く予定」
「無難なところだな。途中五差路があるから、そこは気をつけるように」
「地図で確認済み」
「地図で見るのと実際に運転するのは違うものだ。さっき高遠さんに連絡を入れた。運転に慣れるまでは練習に付き合ってもらえ」