それでも話してほしいと思う。翠が何を思い考えていたのかが知りたい。
「全部話して」
 言葉少なに要求すると、翠はコクリと頷いた。
「ツカサは自分のことを信じられる?」
 今度は何を訊かれているのか。翠の問いかけは時に漠然としすぎていて理解ができない。それ以前に、問いかけていたのは俺ではなかったか。
 そうは思いつつも、
「……質問が漠然としすぎていて意味がわからないんだけど」
「……すごく単純な話。将来の夢を叶える自信があるか、とか。自分の気持ちを信じることができるか、とか。そういうこと」
 そういうことなら――。
「自分が自分を信じなかったら誰が信じてくれるのか知りたいんだけど」
 翠は控えめに笑みを浮かべた。
「私は信じられなかったの。自分の気持ちに不安があったの」
 その話に少し嫌な予感がする。とともに、翠が完全に俯いた。
「私、秋斗さんを好きだった時期があるでしょう? それで、今はツカサが好き。この気持ちがいつまで続くのかが不安で、怖くて、そんな思いを少しもてあましてた」
 ちょっと待てっ。
「そんなのっ――」
「ごめんっ」
 声を荒げた俺以上の声量で翠に謝られた。