急に崖っぷちに立たされた気分だけれど、
「じゃぁ、絶対にされないようにしないと……」
「俺はどっちでも良くなってきたけど」
 ツカサはぷい、と顔を背けた。
 そんな仕草は何度となく見たことがある。けれど、言っている内容はいつものツカサとは少し違う気がする。
 でも、どんなツカサも私の好きなツカサで……。
「ツカサ、げんきん……」
 そう言って私はツカサの腕に自分の腕を絡めた。
 それが合図となり、ふたり新たに歩き始める。
 チラ、と後ろを振り返ると、砂浜にはふたりの足跡が残っていた。
 その足跡が愛おしく思えて、私はツカサに断り写真におさめた。
 撮った写真をディスプレイに表示させると、
「夕陽……?」
「ううん、足跡」
 ツカサは改めて振り返り、数秒してから、
「その画像、あとで転送して」
「え……?」
「……携帯の待ち受けにしたいから」
 どこか恥ずかしそうに申し出るツカサがかわいく思えて、私は「うん」と頷いた。