「ツカサ……?」
 ツカサはどこか戸惑っているように見えた。
「今までのこと、許してほしいのだけど……許してもらえる?」
 訊くと、ツカサは持っていたサンダルを砂浜に落とし、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 これは、許してくれた、ということでいいのだろうか。
 私もツカサに習ってサンダルを離し、ツカサの腰に手を回す。
「ごめんなさい。でも、もう大丈夫だから……。ぐらぐら揺れたりしないから」
「……もし、翠が自分を信じきれないなら、俺が信じる。だから、自分の気持ちに自信が持てないとか言うな」
 え……?
「ツカサが信じてくれるの……?」
 ツカサの顔を見上げると、
「それで翠の気持ちが揺れないなら」
「……嬉しい。ツカサが信じてくれるなら、どんなことでもがんばれそう」
 嬉しくてツカサに抱きつくと、
「……話戻すけど、今度からは秋兄が何を言ってきてもうろたえない自信があるから約束を反故にした?」
「うん、そういうことになる。……いいかな?」
「わかった。……けど、もしキスをされたり抱きしめられたら――」
「……されたら?」
 改めてツカサの顔を見上げると、
「そのときは、翠の気持ちを待たずに翠をもらうから、そのつもりで」
 真っ直ぐに私を見る目は冗談ではないことを告げている。