「高崎さんがね、県立図書館の蔵書がすごいって教えてくれたの。植物の本がたくさんあるって。それから、図書館の隣には植物園があるらしくて、そこも面白いよって」
 ツカサは携帯でそれらを検索すると、すかさずブックマークしていた。
「ほかには?」
「ほかほかほか……寺院めぐり、とか?」
「あぁ、それは御園生さんから聞いたことがある。でも、歴史や寺院仏閣が好きなわけじゃないんだろ?」
「うん。時間がゆったりと流れているような場所が好き。だから、有名なところよりも閑散としたところが好き。このあたりだと、支倉にある星谷寺しょうこくじとか……」
「ほかは?」
「……オルゴール館」
「ほかは?」
「森林浴……」
「ほかは?」
「ツカサっ、次から次へと訊きすぎっ! そんな一気にたくさん出てこないよっ!」
 するとツカサは黙り込んでしまった。
 そんなツカサの手を取り、
「それにね、毎回どこかへ出かけようとしなくていい。ツカサと一緒にいられたらそれで十分」
 ツカサは気まずそうな顔をして、
「翠が良くても俺が困る」
「え……?」