ベンチに座ると、ツカサがバッグから情報誌を取り出した。
「翠はどんなところへ行きたい?」
 情報もなく尋ねられていたら困る質問だっただろう。でも、参考となる資料を与えられてなら困ることはない。
 雑誌を広げると、ちょうど今いる公園が載っていた。
「ここ、水族館もあるのね? ツカサ、知ってた?」
「知ってるけど、今は改修工事中。来月にリニューアルオープンらしい」
「……お魚も好き?」
「生き物ならたいていなんでも……」
「じゃぁ、ここの水族館にも来ようね?」
「……翠が行きたい場所を知りたいんだけど」
「え? 私も水族館好きだよ。青い世界が神秘的で好き」
「ならいいけど……。ほかには?」
 雑誌を見ながら、
「フラワーパークにも行ってみたいな……」
「ほかには?」
「プラネタリウムもいいね」
 ツカサはバッグから付箋を取り出し雑誌に貼り始めた。
「ほかには?」
「えぇと……この雑誌には載ってないと思うのだけど、県立図書館へも行ってみたい」
 ツカサは不思議そうな顔をした。