一年B組の人たちと別々になってしまうのはすごく寂しい。でも、どうしてかな? それで何かが変わってしまう気はしなかった。
 廊下ですれ違えば普通に挨拶をするんだろうな、とかそういうことを容易に想像することができる。
 こんなふうに思えたのは初めてで、早くも新学期の「初めて」に触れてドキドキした。

 クラスへ行くと出席番号順に座るように黒板に書かれており、私と桃華さんは窓際の一列へ向かう。
 私の出席番号は二十七番。桃華さんは二十九番。一年のときは前後の席だったけれど、このクラスでは間にひとり挟む。しかし、前の席は変わらず海斗くんだった。
 新しいものの中にひとつでも変わらないものを見つけるとほっとする。
 新しい環境は良くも悪くもドキドキするものらしい。
 席に着くと、後ろの席の人に声をかけられた。
「俺、山下真咲やましたまさき。席が前後だから仲良くしてね」
 差し出された手は日焼けした大きな手だった。見ただけで男子の手だと判別できるような……。