「あのっ、でもね、そんなに時間のかかる話じゃなくて――」
「時間がかかるかからない関係なく、ひとまず安全な場所に翠を退避させたいだけ」
「……ごめんなさい」
「別に謝らなくてもいいけど」
 図書室に入ると、
「会いたいってなんで? 何かあった?」
「あのねっ、今回の課題テスト、海斗くんに勝ったよ! 全科目満点! 初めての赤丸! ツカサと一緒っ!」
 ツカサは呆気にとられていたけれど、数秒後には「くっ」と喉の奥で笑いを噛み殺した。
「何、それを知らせるため?」
「そう。それだけなの」
「全国模試のほうは?」
「まだわからないけれど、解答欄は全部埋められた。わからない問題はなかったから、解答欄を間違えていたりしなければ満点採れてるんじゃないかな、と思っているんだけど……」
「答案用紙が返ってきて全科目満点だったらお祝いでもする?」
 ツカサの提案に私は目を輝かせた。
「お祝いしてくれるのっ?」
「いいよ。何してほしい?」
「んー……デート?」
 ツカサはまたしても呆れ顔になる。