「つ、ツカサ?」
「消毒……」
 翠の手から肘にかけて隙間なくキスをしていくと、終わるころには翠が真っ赤になって立ち尽くしていた。
「しかも、海の中で横抱きにされたって?」
「で、でもっ、水着っていっても肌の露出はしてないよっ!?」
「……は?」
「だって、タンキニの上にラッシュガードって長袖のパーカを着て首元までファスナー閉めていたし、足はトレンカはいてたしっ――」
「それ、水着って言うの?」
 翠は恥ずかしそうに、
「その格好じゃなかったら海水浴なんて行かなかったもの……」
 さっきに引き続き、むっとした言い方がかわいい。
 うっかり自分が赤面しそうになって、俺はすっぽりと翠を抱きすくめた。
 腕の中で翠はおとなしく抱かれたままだったものの、少しすると俺の背に腕を回した。そして、さっきと同じようにぎゅっと抱きつかれる。
 そこへ、カタン――と電気ケトルが沸騰したことを告げた。
 離れ時とわかっても翠を手放すのが名残惜しい。
「ツカサ、お茶だけ淹れよう?」
「……お茶、淹れたら?」
「……くっついてたい」
 その言葉に、おとなしく翠を解放することにした――。