海を引き上げたのは三時過ぎで、別荘でざっとシャワーを浴びてからの帰宅の徒についた。
 帰りの車の中では寝ていたため、いつ桃華さんと佐野くんが降りたのかすら気づかなかった。
 重だるい疲労感を抱えて帰宅すると、家ではお母さんとお父さんがビール片手にお好み焼きを作っていた。
「三人とも手洗ってテーブルに着きなさい!」
 陽気なお母さんからの指示に従い、荷物を片付けるのもそこそこにテーブルに着いた。
「翠葉、ちゃんと日焼け止め塗った?」
「うん。でも、ちょっと焼けちゃった気がする。首は大丈夫だけど頬がヒリヒリしてる」
「それに比べて唯……どうして男のあなたが真っ白なままなのよ。海に入らなかったの?」
「いんやいんや、ちゃんと入ってきましたよー。もう、髪とかごわっごわだったもんね。柔肌な俺は、リィより入念に日焼け止めを塗っただけですよぅ」
「おぉ、蒼樹はそれなりに焼けたなぁ……」
 お父さんの言葉に、
「皮、剥けるかな?」
「消毒薬塗っとけー」
 そんな会話をしながらホットプレートを囲む。
 ご飯の時間はいつだって和やかで笑顔が絶えない。そんな家族が集まる時間が好きだと思う。