「それでね、ツカサからいただいたストラップをつけたのだけど、ものすごく驚いた顔をされたの。それこそ、信じられない、とでもいうような目で見られて……」
 佐野くんはきょとんとした目で、「なんで?」と訊いてくる。
「……わからない。でも、わからないなりに考えてみたの。それはつまり、私が秋斗さんからいただいたストラップを外さないと思ったから驚いたんじゃないか、って。でも、どうしてそんなふうに思われるのかな?」
 佐野くんは少しすっきりした表情で、「あぁ……そういうことか」と納得してしまう。
「どうしてだろう? 私はツカサが好きだからツカサを選んだでしょう? なのに、どうしてツカサはこんなことで驚いたりするのかな?」
 佐野くんは一拍開けてから口を開いた。
「ライバルが秋斗先生だからじゃん?」
「え……?」
「うちの生徒が御園生にちょっかい出してたとしても、先輩はそれほど気にしないと思う。気にするのは秋斗先生が相手だからだよ」
 秋斗さん、だから……?
「秋斗先生は大人だし、御園生に振られても未だ諦めてないし。御園生だって秋斗先生にはクラスメイトに対するよりも心許してる感あるじゃん。そんな状況じゃ、たとえ御園生が自分を選んでくれていても不安になることもあるんじゃない?」
「……私が好きなのはツカサなのに? そう言葉で伝えても不安は拭えないの? 気持ちは伝わらないの?」
 佐野くんは首を傾げて悩みこんでしまった。