インターハイから帰ってきた週の土曜日、蒼兄と唯兄に買い物へ行こうと誘われた。
「お買い物……?」
「翠葉、水着持ってないだろ? 海水浴は来週の土曜日だからさ」
「あ、うん……」
 まだ、「行く」とはっきり返事をしたわけではない。でも、まさか行くこと自体を悩んでいるとは思われていないのだろう。
「リィ……? なんかある? 生理はかぶってないでしょ?」
 唯兄の言葉にコクリと頷く。そして、自然と右手が首元へ伸びていた。
「……もしかして、傷跡気にしてる?」
 唯兄に訊かれて、再度コクリと頷いた。
「水着を着るのは抵抗があって……」
 俯くと、唯兄にわしわしと頭を撫でられる。
「リィ、大丈夫。傷跡が見えないのも売ってるから」
「え……?」
「ちょい待って」
 唯兄はボディバッグから取り出したタブレットの電源を入れると、何かを検索し始めた。そして、目的のサイトを表示させて私の方へと向けてくれる。