「男の部屋にのこのこやってくるとか、どう考えたって無防備だろっ!?」
「ご、ごめんなさいっ?」
「疑問符つけるなよ……。俺以外の男の寝室に入るなんてこと――」
「しないっ。しないよっ!? 唯兄や蒼兄のお部屋には入るけど……だって、男の人のおうちに行くようなことないものっ」
「……秋兄は?」
「あ――えと……アルバムを見せてもらうのに寝室へ入ったことが……あります」
 あのときもベッドで眠ってしまって、迎えに来てくれた栞さんに怒られたんだった。
「でも……ツカサの部屋でもだめなの?」
 恐る恐る尋ねると、
「……翠を傷つけるような真似をするつもりはないけど、俺が我慢していることは忘れてはほしくないんだけど」
「……ごめんなさい。じゃ、もうツカサのおうちではお勉強できないね? ゲストルームでする?」
 その言葉にツカサは頭をガシガシと掻いた。
「うちで会うときはリビングを使おう」
「……うん」
「何、不服なの?」
「そういうわけじゃ……。ただ、ツカサの部屋は居心地が良くて好きだったから」
「じゃ、早くその部屋に入れるように努力して」