「……い、翠」
「ん……」
「そろそろ起きて。夕飯が届く」
 ……夕飯が届く?
 ツカサはいったい何を言っているのだろう。
 不思議に思いながら目を開ける。と、目の前にツカサの顔があった。
 びっくりして息を止める。
「……そのびっくりしたって顔、ずいぶんなんだけど」
 どこか不機嫌そうなツカサをじっと見ていると、
「起きて正座」
「え?」
「起きて正座しろ」
「あ、はいっ」
 反射的に飛び起きそうになったけれど、それはツカサの手によって阻止された。
「これ以上説教の項目を増やすな」
「え……? 説教……?」
 さっきからツカサは何を言っているのだろう。
 言われたとおり、ツカサの正面に正座をすると、
「翠の無防備すぎるところ、どうにかならない?」
「え……?」