ツカサは突然むくりと起き上がり、
「シャワー浴びてくる」
「え……? シャワーはもう浴びたんじゃないの?」
 部屋に入ってきたときの印象はそんな感じだったのに、違ったのだろうか。
 ツカサは肩越しに振り返り、
「……少しは察しろ」
「……何を?」
「……男の生理現象」
 一瞬なんのことだかわからなかった。けれど、
「翠の腹部に当たってたと思うけど?」
 その一言に思い当たる節がある。
 確かに、抱きしめられているとき、お腹のあたりに硬いものが当たっていた。
 それはつまり――。
「……ごめん。いってらっしゃい」
 私はベッドに横になったまま顔を両手で覆い、ツカサを送りだした。
 しかし……その生理現象とはどう処理するのだろう。
「シャワーを浴びたら治るものなの……?」
 疑問は解消されることなく私の脳内に居座る。けれども、数日間緊張の連続だったこともあり、一気に緩んだ心は私を眠りへと誘った。