光のもとでⅡ

「決め付け」は、ときに人の可能性を潰してしまう。そういうのは良くない。
「気をつけないとな……」
 簾条――俺たち、御園生と一年ちょっとの付き合いだけど、御園生はまだまだ知らない顔を持ってるみたいだ。今の御園生の表情は簾条でも見たことないと思うよ。
 
 リビングへ移動してソファに掛けるなり、聖が御園生の名前を唱えだした。
「御園生、翠葉――御園生さん、翠葉さん、翠葉ちゃん……」
「何ブツブツ言ってんだよ」
 軽く蹴りを入れると、
「いや、苗字も名前もきれいな響きだよなぁ、と思って。御園生さんって呼んでみたけど、翠葉さんも捨てがたくてさ」
 ま、それは確かに。
 俺も、初めて「御園生」という名前を見たとき、きれいだと思った。もっとも、俺が初めて見た名前は「蒼樹」だったわけだけど。「蒼樹」にしろ「翠葉」にしろ、どっちにしてもきれいな名前であることに変わりない。だが、藤宮においてはほかにも凝った名前の人間が多いことからそんなに「珍しい」部類には属さないのが事実。
 御園生はラグに座ってクスクスと笑っていた。