「じゃ、お茶に入れる前にテイスティングする?」
「いいのっ!?」
「翠葉ちゃん、食いつき良すぎっ!」
「あ、わ……ごめんなさい」
「いいよいいよ!」
 柊ちゃんにティースプーンを渡され、ほんの少しハチミツを掬って口に入れる。と、口の中に藤を感じさせる華やかな香りと、上品でまろやかな嫌みのない甘さが広がった。
「美味しい……」
「でしょ? なんの蜜かでずいぶんと味や風味が変わるんだよね。集め出すときりがないよ」
 それはとても心がそそられる……。
「楽しそう……。実は私、ハーブティーは飲むのも集めるのも好きなの」
「じゃ、ハチミツ専門店になんて行ったら沼にはまるね」
「たぶん間違いなく……」
「あのね、駅向こうの商店街にハチミツ専門店があるの。今度一緒に行こう!」
「ぜひ!」
 藤のハチミツは、真白さんにプレゼントしたいな……。