浴衣を着て外に出ると、司と楓が帰ってきていて、楓はバーベキューのセッティングを始めていた。キッチンに用意していたお肉もお野菜も、すべてガーデンテーブルへ出ている。
「母さん、あとはやるから座ってて」
 言われて、私は涼さんの隣に腰を下ろした。
「楓がやってくれるみたいです」
「えぇ、そのようですね。ハナは果歩さんのことを忘れてお肉に釘付けのようです」
 そんなハナの様子を見ながらクスクスと笑う。
 ノンアルコールビールを飲みながら、野菜のグリル、お肉、焼きそばを食べたところでバーベキューは終わった。
 みんなが笑顔でまったりとしているところに短冊を持っていく。と、涼さんと楓は受け取ってくれたものの、予想どおり司は「俺はいい」と受け取らなかった。
 諦めて短冊を引っ込めようとしたら、
「ツカサは無欲なのね?」
「無欲って……」
「だって、私なんてこんなにたくさん書いたのよ?」
 翠葉ちゃんが願いごとを書いた短冊を裏にして司に見せる。