「きれいな短冊……。和紙を重ねて作られたんですね」
 翠葉ちゃんは、ほぉ、とため息をつくほどに目をキラキラと輝かせている。
 湊がこの場にいたとしても、これほどの反応は見せてくれなかっただろう。そう思うと、女の子らしい家族が増えたことがとても嬉しく思えた。とはいえ、翠葉ちゃんはまだ家族ではないけれど、翠葉ちゃんが家族に加わる未来を夢見てしまう。
「短冊、作りだしたら止まらなくて、こんなにたくさんあるの。だから、願いごと、たくさん書いちゃいましょうね」
 枚数にしたら参加人数の三倍くらいはあるだろう。司に見せたら呆れられてしまいそうだけれど、きっとこの子たちならたくさんの願いごとを書いてくれるだろう。
 ふたりは笑顔で「はい」と数枚の短冊を手に取った。

 五時半を回ったところでようやく飾り作りが終わり涼さんを呼びに行くと、ハナは涼さんの膝の上で丸くなって眠っていた。
「起きたらまた吼えるでしょうか」
 小さな声で尋ねると、ハナがギンと目を開き辺りをうかがう。
「……浴衣は断念して、ハナを抱っこしていなくちゃだめそうですね」