笹の近くにいた真白さんと合流すると、残っていた線香花火を渡された。どうやら、ほかの花火はすべて楓先生と果歩さんがやりつくしてしまったらしい。
「翠葉ちゃんってもしかして花火苦手?」
「あの、実は煙が苦手で……」
「そんなの最初に言ってくれたら良かったのに! 風上でやればなんてことないよ! 今度また花火やろうね」
 果歩さんに言われてにこりと頷く。
「さ、お義母さん、翠葉ちゃん、誰が一番長くもつか選手権やるよ!」
 私たちは楓先生が差し出してくれた火に花火をかざし、三つ同時に火をつけた。
 四回勝負のうち、私は三勝一敗。真白さんは二勝二敗、果歩さんは一勝三敗。
 それらの勝ち負けは最後の片付けに響いた。
 一番勝ちが多かった私はツカサと花火の片付け。次位の真白さんは涼さんと一緒に笹の片付け。一番負けが多かった果歩さんは楓先生と一緒にバーベキューの片付け。
 あまりにも片付けに格差があって狼狽していると、
「これ、毎年恒例にしましょう?」
 真白さんににこりと微笑まれても、これだけは譲るわけにはいかない。