ツカサの家に着いたのは四時過ぎ。
 少し早く来たのにはわけがある。
 真白さんに、飾り作りを手伝ってほしいと言われていたのだ。
「いらっしゃい! 早く来てもらってごめんなさいね」
「そんなことないです! ねっ、翠葉ちゃん?」
「はい! 笹の飾り作りなんて小学校以来で楽しみです」
 私たちはエアコンの利いたリビングに案内され、ローテーブルに着いて作業を始めた。
 そんな私たちの傍らでずっと吼えているのはハナちゃん。
「翠葉ちゃんには懐いてるんだって? 私、未だに吼えられるの」
 と、果歩さんは苦笑する。
「ハナ~? 今日もハナにプレゼント持ってきたんだよ? ほら、ジャーキーだよ。美味しそうでしょう? 美味しいよ? 食べたいでしょう? おいでおいで――」
 ジャーキーをチラつかせ、言葉巧みに近づこうとしてもハナちゃんは一切受け付けない。仕舞いには、私の膝に乗って吼える始末だった。
「ハナ……果歩ちゃんは家族よ? 何度もうちに来ているでしょう? そろそろ覚えない? ほら、いつもジャーキーをくれる人でしょう?」
 真白さんが宥めても、ハナちゃんは険しい顔でウーウー唸ってはキャンキャンと吼え続ける。