「そうかぁ……そんなに心配しなくても大丈夫だよ、とは言えない身になってしまった私としては苦しいところだわ」
「さらに、三月までピルを服用していたけど今は服用を中止している」
「なんてこと……。ピル服用してたらまず間違いなく大丈夫だったのにね。……で? 司はどうするの?」
 どうする、か……。
「今は翠が何をどう考えているか、そのあたりの理解に努める。そのうえで対策を練る予定」
「……ふーん。強行突破はしないんだ?」
「怖がらせたくはない」
「……そういうとこ、優しいよね」
 それは違う。俺はただ、翠に距離を置かれたくないだけだ。
 翠に恐れられたくない。翠にとって恐怖の対象にはなりたくない。ただ、それだけだと思う。
「しゃーない! かわいい義弟のためだ。おねいさんが一肌脱ぎましょ!」
「は?」
 妙にやる気満々のこの義姉は、いったい何をしようというのか。