義姉さんを一瞥すると、
「本当にからかったりしないってば!」
 懇願してくるので、もう少し留まることにした。
「何、翠葉ちゃんってこんなことまで考えてるの?」
「考えていると思う。子どもができたとしたら中絶するのは嫌だって……。それから、今はまだ高校生でいたいからって」
 義姉さんはきょとんとした顔の末に、頭を抱えてしまった。
「そっか……いい子って本当にそこまで考えるんだ。なんていうかさ、ゴムじゃ百パーセントの避妊はできないよ。それは、私が自分で立証しちゃったしさ、でも、そんなに確率が高いわけじゃないと思うんだよ。だから、そこまで考えなくても大丈夫じゃないかな、と思うんだけど……司少年、どう思う?」
「右に同じく……。そんな確率が高かったら避妊方法として確立していないと思う」
「だよねだよね……。その辺、翠葉ちゃんわかってるのかな?」
「一回のセックスで妊娠する可能性は二十パーセントから三十パーセント、正しくコンドームを装着した場合の避妊率は、低く見積もっても九十パーセントから九十五パーセント――この程度の知識は授業で習う。たぶん、その三十パーセントや五パーセントを重く受け止めて真面目に考えているんだと思う」