帰宅したら自室のドアが閉まっていた。どうしてだろう、と思うと同時、ドアに貼られた紙が目に入る。
 ぱっと見て、書かれている文字がツカサの筆跡であることに気づく。
「今日中に渡したいものがあるから十階で待ってる。携帯は人質――」
 読んで気づいた。携帯を交換したままであることに。
 でも、プレゼントってなんだろう……?
 迎えに出てきてくれた唯兄が、
「誕生日プレゼント、まだもらってないんじゃないの~?」
「誕生日プレゼント……? あっ――」
 そうだった。今日は誕生日をお祝いしてもらうためのデートだったのだ。
「でも、デートしてもらったし、お昼ご飯もご馳走になっちゃったし、そのうえプレゼントなんていいのかな?」
「何、そのデートしてもらったって」
「え? あ、何が欲しいのか訊かれたのだけどとくに欲しい物はなくて、その代わりにデートしてってお願いしたの」
「あぁ、そういうこと。ま、それはさておき、くれるって言ってるんだからもらってきなよ。なんか食べ物もあるらしいから、夕飯はお腹いっぱいに食べないほうがいいかもよ?」
「食べ物……?」
「ま、楽しみにしておきなよ」
「ん……そうする」