幸せが心に積もると、積もりすぎるとどうなるのかな……。
 そんなことを考えながら歩いていると、
「きゃっ――」
 木道の段差に気づかず足を取られた。けれど、咄嗟に腕を掴んでくれたツカサにより転ぶことは免れる。
「……食べ物の話で何浮かれてるんだか」
 私は恥ずかしくなって俯く。
「……だって、嬉しいんだもの。ツカサの好きなものを教えてもらえるのも、訊いたことに全部答えてもらえるのも、嬉しいんだよ。足元が留守になるくらい、嬉しいんだよ」
 言い終わってそっと顔を上げると、
「なら、座って話す」
 ツカサは私の手を引いて、近くにあるベンチへ向かって歩きだした。