今日の予定は、午前中は秋斗先輩のところで仕事。午後は桃華とデート。
 俺は十一時を回るとひとり先に職場をあとにした。
 午後からのデートということもあり、デートプランは緩め。
 ランチを食べてから映画を見て、ショッピングをしながらぶらぶら。六時半までには桃華を家に送っていく。その予定だった。が、ランチを食べ終わる頃には予定が大きく変更された。
 話のきっかけは自分にある。
 昨日、翠葉が相談してきたことが引っかかっていて、学校でのふたりがどんな様子なのかを尋ねてみたのだ。
「翠葉から何か聞きました?」
「昨日、ちょっとね……」
「……それ、話してもらえたんですか? それとも、話してもらえなかったんですか?」
 桃華は、「さぁ、どっち?」と言うかのようににこりと笑みを向けてくる。
 桃華は学校であったたいていのことは教えてくれる。しかし、翠葉が望まないことは口にしない。実に友達思いな彼女なのだ。