「話したところで翠は困るだけじゃないの?」
「……かもしれない。でも、話してほしい」
「……わかった」
 腕を解かれると、やっぱり少し寂しく思える。でも、ずっとくっついているわけにもいかないから、
「ツカサ、もう一度だけ……」
 ツカサの唇を見ると、何も言わずに顔が近づいてきた。
 優しく触れる唇に涙が零れそうになる。
 ……嬉しい。
 ツカサとのキスは嬉しい……。ドキドキするけれど、それ以上に嬉しくて幸せな気持ちになる。
 こういう気持ちはどうしたら伝えることができるのかな。
 そんなことを考えていると、新たなる願望が沸き起こる。
 今ならなんでもお願いできる気がするけれど、
「……ツカサ、デート、したいな……」
 ツカサの様子をうかがいながら口にすると、
「デート……?」
「うん。いいお天気だから……お散歩に、行かない?」
 ツカサは優しい顔つきで、「了解」と答えてくれた。