意味がわからず説明して、の視線をツカサに向けると、しだいにツカサの目が苛立ちを帯びてくる。
「手をつないで、翠の腕や肩が俺に触れて、翠の顔がすぐそこにあって――どこまで理性を保っていられるのかがわからないっ」
 語気荒く言われたけれど……。
「リ、セ、イ?」
 口にして数秒後、リセイが漢字に変換された。
「あのさ、俺をなんだと思ってる? 一応、人並みの性欲と生殖機能を備え持つ普通の男なんだけど」
 ――ヒトナミノセイヨクトセイショクキノウヲソナエモツフツウノオトコ。
 なんだかものすごい衝撃を受けた気がする。
 私の頭はショートしてしまったのか、すべての思考がストップしていた。
 ツカサは罰の悪い顔で、
「例えば、俺は翠を抱きしめたいと思うことだってあるし、キスをしたいと思うことだってある。でも、それがどこまで受け入れられるのかがわからない」
 今度の言葉はきちんと理解が追いついた。しかし、理解が追いつくと同時に顔がこれ以上ないほどに熱を持つ。