ふ、と目が覚める。いつもなら五感を覚醒させてから目を開けるところだけれど、そんなことをせずともすでに覚醒済み。
「今日も眠った気がしない……」
 いつもと変わらない室内を目に映し、枕元に置いてある携帯を手に取った。時刻は六時過ぎ。その前に目が覚めたのは四時半を回ったところだった。そして、その前が二時……。
 こんなに何度も目が覚めていては眠った気がしないというもの。
 ラヴィを引き寄せ抱きしめると、私は空いた手で基礎体温計を取り、体温計部分を口に咥えた。
 今なら二度寝ができそうな気がする。でも、そんな気はするだけだと身をもって知っている。
 今日は日曜日、ツカサは部活――。
 意識を野放しにしていると、ツカサのことを考え始めてしまう。けれども、ツカサにまだ時間が必要なら、今まで以上に気にしないよう努めなければ、私が先にまいってしまう。ならば、意識して違うことを考えなければ――。