藤山くらいまで行くのかと思いきや、翠はマンション敷地内を回るだけでいいと言った。
 なんの変哲もない小道を歩き、公園で遊ぶ子どもを見ながら翠は笑う。そんな翠を見て、「ありがとう」と心の中で唱えた。
 こんな俺を受け入れてくれて、ありがとう。……願わくば、これからどんな俺を見ても、そのすべてを受け入れてくれますように――。