しかし、桃華はあと二年間は高校生だ。その期間、俺は我慢できるのだろうか――。
 互いが合意の上で肉体関係を持ったとしても、コンドームだけでは百パーセントの避妊にはなり得ない。リスクはそれ相応にあり、ダイレクトにリスクを負うのは桃華だ。そう考えれば、自分から言い出せることではない気がしてしまう。
「あんちゃんならどうするよ」
 唯に尋ねられたときには頭を抱えたい心境だった。
「正直な話、したいよね……。したいけどさ、桃華が高校生のうちは自分から言い出していいのか悩むよね。……藤の会で楓先輩に会ったんだけど、楓先輩できちゃった結婚だって。それも、避妊していたにも関わらず……。そういうの聞いちゃうとさ、やっぱ色々考えるっていうか……」
「あーもう、なんかずれてるんだよなぁ……。あのさ、ヤりたいかどうかじゃなくて、ヤることしか考えられなくなったとき、あんちゃんならどうするかって話だよ」
 あぁ、なるほど……。もしかしたら、今司はそんな状況にいるのかもしれない。
「……そのことしか考えられなくなっちゃったらきっついなぁ……。しかも、相手は自分のことが好きなわけで付き合っているわけで……」
「そのうえ、相手はリィなわけだよ」
 そこまで言われて、ズシ、と重い負荷が加わった。