日付が変わる時間になると、唯はパソコンから視線を外し、
「ねぇ、あんちゃん。リィ、なんかあったでしょ?」
 断定口調の尋ね方に、「さぁ、吐け。今すぐ白状しろ」と言われている気がしてくる。
「どうして?」
「んなの、リィを見てたらわかるじゃん。ここ最近あまり眠れてないみたいだし、今日は目ぇ充血させてたし」
 さすがは唯だ。目ざとい……。
「すぐに気づいて突っ込みそうなあんちゃんが冷静なところを見ると、俺がいないときにあんちゃんだけは事情聞いてたりするんじゃないのー?」
「……相変わらず鋭いな?」
「ふっふっふ、あまり侮ってもらっちゃ困りますよ」
 唯はデスクチェアにふんぞり返ってこちらを向いた。
「なーんかさ、司とうまくいってないみたい」
「はー? 今度はなんなのさ」
「藤の会の翌週から、どうやら司が翠葉を避けているらしい」
「は?」
「学校へ行けば生徒会で会ったり、一緒に弁当を食べたりはするみたいだけど、手をつないでもすぐに解くし、隣の席に座っても席を立たれるらしいよ」
 正直、それだけならば「避けている」という言葉を使っていいのかは微妙な気もするけれど……。