「……そうだよね。このままだと生徒会メンバーに迷惑かけ続けることになるし……」
 翠葉の言葉にドキリとした。まるで心の中を読まれてしまった気分だ。
「ごめん、顔に出てたかしら?」
「ううん、桃華さんが、っていうわけじゃないの。ほら、嵐子先輩とかそろそろ限界って感じでしょう?」
 そう言って翠葉は笑った。
「一昨日も何かあったのか、って訊かれちゃった。最初のうちは嬉々として訊いてくる感じだったけど、ここのところは辟易とした感じ。私は認めたくなかったから、何もないですよ、って答えていたけれど、そろそろそれも通じないよね」
 ちょっと反省……。翠葉は鈍感でも、周りに対する配慮を忘れる子じゃなかった。
 わかっていてこの状況が続いているのだとしたら、それほどまでに、あの男に尋ねるのが怖い、ということなのだろう。こんなとき、蒼樹さんならなんて言うのかしら……。
「翠葉、藤宮司に直接訊けないなら、蒼樹さんに相談してみたらどう?」
 翠葉はきょとんとした顔で、
「あ……そっか。蒼兄たちに相談すれば良かったのね?」
 まるで存在を忘れていたかのような物言いに、クスリ、と笑みを零す。