幼稚部、初等部、中等部は全くといっていいほどに人との関わりを持たずにきた男は、翠葉と出逢って少し変わった。けれども、その変化が周りにとっていいものだったのかは不明。
 翠葉と関わる都合上、翠葉の周りにいる人間とも関わりを持つことになり、その部分に含まれる私からしてみると、微妙な面倒臭さが生じている。
 翠葉とうまくいっているときはいい。が、翠葉とうまくいっていないときは最悪だ。
 いつも以上に言葉数が減り、たまに発する言葉は棘以外を含まない。さらには近寄るなオーラを大放出だ。
 生徒会の仕事に支障が出る程度には面倒臭い人間だと思う。人間としては、より人間らしくなったわけだけど、感情の起伏がなかった中等部時代のほうが、まだ扱いは楽だったように思える――なんてことは、翠葉には口が裂けても言えないけれど。
「藤の会では藤宮司のエスコートも受けたんでしょう?」
「うん……。最初からずっとエスコートしてもらえるものだと思っていたのだけど、元おじい様のお考えで色んな人にエスコートされて、最後にツカサがエスコートしてくれた。でも、午後からはずっと元おじい様の膝元にいたから……」