「怖い」と思ったことはある。会うたびに威圧的な態度に気圧された。でも、それだけなのだ。今は、以前との対応の差に戸惑っている。ただそれだけ――。
「言い訳ではないのだけど、私の身の上話を聞いてくれるかしら?」
「……私が聞いてもいいのでしょうか?」
「そうね……。たぶん、私はあなたに聞いてもらいたいの」
雅さんは自分が妾の子であること、両親に望まれて生まれてきたわけではないこと、実の母親に捨てられたこと、幼少の頃から藤宮の中でどう扱われてきたのかを話してくれた。そんな自分と秋斗さんを重ねて見ていたことも――。
秋斗さんの家は夫婦仲が悪いわけではない。むしろ良すぎたため、紅子さんが若すぎたがために、秋斗さんが大学に入る頃くらいまでは育児放棄に近かったという。
「環境は違うにせよ、親からの愛情を満足に受けられなかった者同士、互いが欲する愛情を補い合えると思っていたわ。でも、あなたも知っているとおり、お見合いすらできなかった。もっとも、お見合いができたとしても話はまとまらなかったでしょうし、話がまとまって結婚に至ったとしても、うまくはいかなかったでしょうね」
「言い訳ではないのだけど、私の身の上話を聞いてくれるかしら?」
「……私が聞いてもいいのでしょうか?」
「そうね……。たぶん、私はあなたに聞いてもらいたいの」
雅さんは自分が妾の子であること、両親に望まれて生まれてきたわけではないこと、実の母親に捨てられたこと、幼少の頃から藤宮の中でどう扱われてきたのかを話してくれた。そんな自分と秋斗さんを重ねて見ていたことも――。
秋斗さんの家は夫婦仲が悪いわけではない。むしろ良すぎたため、紅子さんが若すぎたがために、秋斗さんが大学に入る頃くらいまでは育児放棄に近かったという。
「環境は違うにせよ、親からの愛情を満足に受けられなかった者同士、互いが欲する愛情を補い合えると思っていたわ。でも、あなたも知っているとおり、お見合いすらできなかった。もっとも、お見合いができたとしても話はまとまらなかったでしょうし、話がまとまって結婚に至ったとしても、うまくはいかなかったでしょうね」


