大樹さんは俺たちと入れ替わりでキッチンから出てきた。お茶の準備をしていた佳苗さんは作業を中断させると、
「調味料はシンクの下とそこの調味料ラックね。キッチンツールは翠葉ちゃんに訊けばたいていのものが出てくると思うの。わからなかったら訊いて? 私はお茶を出してくるわ」
 包丁などは目につく場所に出ていた。
 リィに手伝ってもらいながら作ったのは、七品。
 イカとワカメにポン酢をかけ、和え物におろしたしょうがをちょこっと添えたもの。山芋を短冊切りにしてキムチと和えたもの。塩茹でしたオクラと中オチマグロを合わせわさび醤油をかけたもの。たけのこの梅肉和え。レンコンの金平。山芋と梅肉が余ったから、それらを和えただけのものも追加。それにリィの好きな大学芋を作った。
 通常の料理では副菜になるようなものばかりがずらりと並ぶ。
 リィが小鉢をたくさん出してくれ、それらを器に持ってトレイに載せた。このあとは居間へ運ぶのみ。