食事を始めていっそう上品さを増したおばあさんは、控え目な笑みを見せた。
 硬質、歓迎されていない、と感じたそれは「緊張」だったのだろうか。
 どう接したらいいのかわからない、と思っていたのは自分だけじゃなかったのかもしれない。
「それは仕方ないでしょう? 三人とも初対面なんだもの。お父様とお母様が緊張していたように、うちの唯だって緊張してたのよ。だから、三人ともお相子。ね?」
 碧さんの一言に場が和んだ。
 リィを除く全員にワインを注ぐと、
「じゃぁ、今日、私たちが出逢えたことに乾杯しよう」
 おじいさんの一言が乾杯の音頭となり、俺たちはグラスを高く掲げた。