どうしたらいいのかはわからない。でも、この遠慮のないハグは、自分に踏み込んでもらえた気がして、受けていて安心感を得られるものだった。
「姉さんも義兄さんも、相変わらず好き勝手やりたい放題だな。でも、唯芹くんを迎えるメリットがあったからこそ養子に迎えたんだろう?」
「そのとおりよ。うちには大きなメリットがあるの。すてきなことにデメリットはなしよ。最高でしょう?」
 碧さんは渋い顔をしている両親を気にせず、腰に手を当てて胸を張る。
 この図太さ、ちょっと見習いたいかも……。
 緊張からくる息苦しさなのか、ハイソな空気に触れて気管支あたりがアレルギーを起こしているのか、身体症状に異常が出そうな予兆を感じていると、リィに手を握られた。
 ぎゅ、と握られ俺の目を真っ直ぐに見てくる。そしてにこりと微笑んだ。即ち、「大丈夫だよ」。
 なんだかな。リィの笑顔が薬に思えてくる。触れた瞬間に、す、と効果が現れ始める何か。