翠の返信は、尋ねられていた部活動の内容や生徒会の活動内容。ほかには趣味の話に触れている。
 近況報告――メールだけを見ればそう解釈できるが、翠はひとつ重要なことを見落としていると思う。
「……友達になるためにメールが必要だと思っているのは翠だけじゃないの?」
 翠はひどく驚いた顔をした。それ以外にいったい何があるのか――そんな顔。
「鎌田は翠のことが好きなわけだから、ただつながりを得たかっただけじゃないの?」
 単純に考えてそれしかないだろ、と思うのは俺だけだろうか。
 翠はコク、と唾を飲み込んだ。
「……さっき鎌田くんに告白された。でも、きちんと断ったよ。そのうえで、友達のままでいようって話をしたの。だから、今までがどうかはわからないけれど、これからはそういうつもりでメールをするわけじゃないと思う」
 なんて安直な……。