反射的に突っぱねるような言葉を返してしまう。でも、そんな趣味はなくとも気になっている自分がいるのは事実で……。
 できれば、今日このタイミングでメールの話は持ち出さないでほしかった。このまま何もなければ何ごともなかったようにやり過ごせる気がしていたし、翠が鎌田のメールを受信する場に度々居合わせるわけではないだろう。目にしなければ、意識も薄らいでいくものだと思っていたかった。
「手……つないでもいいかな」
 翠からの要望に、手を差し出すことで応える。と、翠は丁寧に手を重ね、同じくらい丁寧に言葉を連ね始めた。
「友達って……いつから友達で、どうしたら続いていくのかな。……あのね、私、まだ、友達というものが漠然としすぎていてよくわからないの。学校の友達には毎日会えるから何を考えることもないのだけど、毎日会わない人とはどうしたら友達でいられるのか、まだわからないの。鎌田くんとは中学が一緒だったけれど、今の友達ほどたくさんの言葉を交わしてはきていないから、お互いのことをほとんど知らなくてね、こんなに何も知らない状態で友達といっていいのかがわからないの。だから、今は友達になるべくメール交換をしている感じ……。たぶん、お互いのことを知るためにメールの交換をしているんだと思う」
 そこまで話すと、以前俺が押し付けたショルダーから携帯を取り出す。