「鎌田くんとメールのやり取りしてるの、嫌だった?」
 嫉妬はしたと思う。でも、それが嫌かと言われると何か違う気もする。
 ただ、ザワザワと胸がざわつく。それをどう説明すればいいのかはわからないし、説明したいとも思わない。
「別に。近況報告のやり取りが楽しいっていうのは理解できないけど」
「じゃ、続けてもいい?」
「……そこまで干渉するつもりはない」
 これ以上メールの話をされたらたまらない。
 もし、昨日送ったメールの話になろうものなら八つ当たりをする自分が目に見えている。
 本当は翠が食べ終わるまでその場にいるつもりだったけど、俺は集計を理由に席を立った。

 この日の夜、「唯兄取り扱い説明書」というメールが翠から届き、昨夜のメールが削除されずに読まれたことを知る。そして、延々と綴られる唯さんのプロフィールを始め、決して俺の役には立たないであろう情報に目を通す羽目になった――。