昨夜のメールのことを思い出すと罰が悪いどころの話ではない。あの、とりとめのない文字の羅列を読まれてしまっただろうか。読む前に削除してもらえただろうか。知りたくても、メールの話題を持ち出すことすら躊躇われる。
 もしあのメールを読んだのなら、いくら鈍い翠でも気づいただろう。俺が鎌田を意識してメールを送ったことくらいは。
 気づかれてリアクションがあっても困る。そんなことを気にしていた俺は、翠を避けることはなかったものの、生徒会の仕事が絡む会話しかできなくなっていた――。

 飛翔のクラスとバスケの試合をしているとき、
「司ーっ! 翠葉が応援に来てくれたんだからがんばんなよっ!」
 嵐の声が飛んできた。目の端に翠の姿を認め、余計なことを、と思う。
 試合は一年に圧されていた。