「……ハナの生態? ……というよりは、ハナの取り扱い説明書かしら?」
 言われて気づく。メモ帳に書かれているそれらはハナのプロフィールであり、ハナの取り扱い説明書でしかない。続けて書かれているのは単なる料理のレシピだ。
 唯一、自身の感想を伴うものがあるとすれば、沈丁花の香りに関することのみ。
「……母さん、一通メールを出したら風呂に入る」
 俺は母さんを部屋から追い出し、二通目のメールを翠へ送った。
「一通前のメールは読まずに削除して」という件名の、本文が空のメールを――。