部活が終わって部室棟へ戻ってくると、テニス部の引き上げ時間と重なった。
「あ、司! このあと着替えたら帰るんだろ?」
「そうだけど」
「じゃ、たまには一緒に帰ろうぜ。着替えたら外で待ってるからさ」
 海斗は俺の返事を聞かずにテニス部の部室へ姿を消した。
 どうせ帰る方向は同じだし、返事をしてもしなくても海斗が待っているのなら必然と一緒に帰ることになるだろう。
 着替えを済ませ部室棟を出ると、階段の下で海斗が待っていた。
「うっす、お疲れ! 帰ろうぜ!」
「言われなくても帰る」
「……司、俺が待ってなかったら俺のこと置いて帰るつもりだっただろ?」
「さぁな……」
 自転車に跨り芝生広場を走り始めると、海斗がひょんなことを言いだした。
「おまえさ、翠葉と連絡取ってるの?」
「は?」
 隣を並走する海斗の言わんとすることがわからない。