翌日、朝起きた裕也は彩の家の前に家族といた。昨日の夜の涙の後がまだ残ってる気がして何度も目をこする。わざとらしく欠伸もして。裕也の両親と彩の両親が名残惜しそうに話している。今年小学四年になる弟の裕紀はまだ起きてないのか、いなかった。
「ゆう君…」
彩ちゃんも昨日は泣いたのかな?いつもより目が腫れぼったく見えた。
「これ…あげる!」
「……?」
彩が裕也の手に何かを忍ばす。裕也は手を広げて見ると、彩が幼い頃から大事にしていた七色に光る石がついたキーホルダーだった。
「これって…」
「大切にしてよ! 私のお守り!」
彩の父親が車のエンジンをかける。
「ああ…、一応大切にする。」
エンジンの音で声が聞こえなかったのか、彩は一度、ニコッと笑うと軽く手を振り、車の中に消えた。