ドンドンドンドン

誰かが来た

何度もドアを叩き、ドアの向こうから

「健太いるんでしょ。開けて!」

私は健太の顔を見た。ドアの向こうにいるのは佐原樹里・・・

そして健太は私の顔を見て

「ごめんな」

そう言って立ち上がり、私の頭をソッと撫でて、入り口へ向かった

撫でられた頭が熱を持つ

一緒にいた頃いつも撫でてくれた

それもすべて思い出なの?

「行かないで…」

佐原樹里のいるドアの方へ歩いている健太に言っていた

健太は振り向き、立ち止まる

「こんな中途半端な気持ちのまま…離れたくないよ…」

私はまた泣いていた…

やっと会えた健太と離れたくない

私はベットから立ち上がり、健太の所まで行き

「佐原樹里の所に行かないで…私は健太がいないと…だめなの」

もう離れたくない

だから出ないで…

「亜美…」

健太が私の腕を引き、私を抱き締めた

この腕に抱かれ、この胸に埋もれたかった

いつもそれを願っていたんだ