私は夢を見ることすら許されないのだろうか

「亜美…」

健太が私を呼んでいるのに現実から目を覚ませないでいる

声も出さずにただ涙を流しているだけ…

私と別れた理由、佐原樹里と別れられない理由

これを聞いていない

聞かなくてはならない

聞かないとまた私は立ち止まったままになる

「健太…別れた理由を教えて」

私は涙を堪え、顔を上げて健太の目を見た

しっかりとこの胸ですべてを受け止めよう

私は息を飲み、決意したかのように拳を握り締めた